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経営課題が明らかになってからの専門家連携で、十分でしょうか?- 経営支援とIT・AI活用支援を考える5つの問い

IT・AI活用の問い
1. そのAIサービス導入、本当に業務活用につながっていますか?
2. 経営課題が明らかになってからの専門家連携で、十分でしょうか?- 経営支援とIT・AI活用支援を考える5つの問い

はじめに

IT・AI活用コンサルタントとして活動していると、経営コンサルや中小企業診断士の方から「私の顧客のIT活用課題についてサポートしてほしい」という話が来ることがあります。
最近は「AIを使いたいと言っている顧客のサポートを一緒にお願いします」と言われることもあります。

とてもありがたいことで、株式会社ワザーップでは、そのようなご相談はいつでも歓迎しています。

ただ…そのような連絡をいただき、顧客にお会いして話を聞いてみると、直接顧客から相談を受ける場合と異なった状況であることがほとんどなのです。

どういうことかというと…経営コンサルや中小企業診断士の方の支援の段階で…

  • すでにIT活用に関する課題の内容が明確になっている
  • すでに課題に対する対応方針が決まっている
  • さらに検討が進み、対応方法まで決まっている

ということがほとんどなのです。

もちろん、経営コンサルや中小企業診断士の方の中には、ご自身がIT・AI領域について十分な知見をお持ちの方もいますし、それ以上にご自身がIT領域の専門家であったりする方もいますので、このこと自体を「それでは問題がある」と否定したいわけではありません。
そのような場合でも、ワザーップに支援を要請された背景が明確であれば、対応は可能です。

しかし、そんな前向きな状況でないケースも結構あるのです。
IT・AI領域の専門性が十分でないまま、課題・対応方針・対応方法が決まっていて「なんでウチにサポート要請を出してきたのかな?」と思うケースが多いのです。

今年の夏、雨が続いていた時期にもそのようなことがあって「むむむ……なぜなんだ!」と感じたことをきっかけに、今回の「IT・AI活用の問い」シリーズでは…

経営支援の中で、IT・AI領域の専門性をどの段階から、どのように取り入れるのがよいのか?

を取り上げることにしました。

特に独立系の経営コンサルや中小企業診断士の方に向けて書きました。
5つの問いを通して、IT・AI領域の専門性の取り扱いを棚卸してみていただければと思います。

専門家に依頼する前に、何が決まっているのでしょうか?

上述したとおり、私はIT・AI活用の専門家として、経営支援に関わる専門家の方からスポットでの連携を求められることがあります。
このような連携では、相談を受ける時点で、対応すべき課題や依頼内容が具体化されている場合があります。

例えば、

「この業務をシステム化したい」
「この作業をAIで効率化したい」
「この問題に対応できるITの仕組みを考えてほしい」

といった依頼です。

もちろん、そこに至るまでに十分な検討が行われている場合もあるでしょう。
一方で、依頼を受けるIT・AI領域の専門家の立場からは、次のような疑問が生じることがあります。

  • そもそも、その問題の捉え方でよいのだろうか。
  • IT・AIによる対応が適切だと判断した根拠は何だろうか。
  • IT・AI以外の手段も、十分に検討されたのだろうか。
  • もっと前の段階から関わっていれば、別の課題や選択肢が見えていたのではないだろうか。

ここで問題にしたいのは、依頼内容が正しいか間違っているかということではありません。

ある専門家が問題を整理し、別の専門家が決められた支援を実施する。

この役割分担は、一見すると合理的です。
しかし、専門家がそれぞれの役割を果たしていることと、顧客企業にとって必要な問題の把握や選択肢の検討が十分に行われていることは、同じでしょうか。

経営課題には、組織や人員、業務の進め方、情報の扱い方、IT・AI活用など、複数の領域が関係していることがあります。
そのような問題を、最初に関わった専門家の理解の範囲だけで整理してしまうと、検討すべきことの一部が見えなくなる可能性があります。
では、顧客にとって必要な支援を考えるために、どのようなことを確認すればよいのでしょうか。

経営支援とIT・AI活用支援を考える5つの問

問1. 顧客の問題を整理するとき、自分の専門性だけでは捉えきれていないことは何でしょうか?

経営支援では、専門家自身の知識や経験を使って、顧客の状況を整理していきます。
それは支援の重要な価値です。
ただし、自分が詳しくない領域については、そもそも何を確認すべきなのか、どのような選択肢があるのかが分かりにくいこともあります。

これは、私自身も経験していることです。

私が「IT・AI意志決定SWITCH」でIT・AI領域の意思決定支援を行うときにも、組織・人材・コストなど、経営に直結する問題が出てきます。
もちろん、それらも考慮しながら支援を進めますが、状況が複雑になると、自分の専門性だけでは十分に整理しきれない場合があります。
そのようなときには、その領域の専門家に相談することもあります。
ただ、相談する段階になってから、「もっと早い段階で関わってもらった方がよかったのではないか」と感じることも少なくありません。
問題の複雑さが明らかになって初めて、それまでの検討で見落としていたことや、十分に確認できていなかったことに気づく場合があるからです。
そのようなときには、顧客にとって、もっとよい支援の進め方があったのではないかと申し訳なく感じます。

専門家がすべての領域に詳しい必要はありません。

ただ、自分の専門性で捉えられる範囲と、そうでない範囲を意識できているかは、支援の進め方を考えるうえで重要ではないでしょうか。

問2. 「IT・AI活用で」という対応方針を考える前に、何を確認しているでしょうか?

顧客から「ITを活用したい」「AIで何とかできないか」と相談されることもあると思います。
また、経営支援の中で、IT・AI活用が有効な手段だと考えられる場合もあるでしょう。

しかし、IT・AIで何ができるかを考えることと、顧客の問題にどのような対応が必要かを考えることは、同じではありません。

例えば、ある作業に時間がかかっているとしても、その作業をIT・AIで効率化することが適切とは限りません。
作業自体をなくしたり、業務の進め方を変えたりすることで問題を解決できる場合も考えられますが、IT・AIを導入することで新しい作業(保守・メンテナンスやデータ管理など)が生じて、結果として、社内の人材では対応しきれないという話になるケースもあります。

そこで考えてみてください。

  • IT・AIによる対応を検討する前に、顧客が解決したい問題と、その背景をどこまで確認しているでしょうか。
  • IT・AIを使わない方法を含めて、どのような選択肢を検討しているでしょうか。
  • IT・AI領域の専門的な見解が必要だとしたら、それは対応方法を決める前でしょうか。それとも、決めた後でしょうか。

IT・AIの専門家が関わる価値は、必ずしも導入や実装の場面だけにあるとは限りません。
IT・AIを使うべきかどうかを考える段階でも、専門的な知識が判断材料になることがあります。

対応方針を決める前に、必要な専門的視点を取り入れられているでしょうか。

問3. 専門家との連携を始めるのは、なぜそのタイミングなのでしょうか?

必要なときに必要な専門家へ相談することは、合理的な連携方法の一つです。
一方で、専門家が関与するタイミングによって、その専門性を活かせる範囲は変わります。
課題や対応方針が決まった後なら、主にその対応を具体化するための支援になります。
問題を整理する段階から関わるなら、確認する事項や、検討する選択肢についても意見を得られる可能性があります。

ただし、最初から多くの専門家が関われば、必ずよい支援になるわけではありません。

そこで考えてみてください。

  • 現在、他の専門家への相談を始めるタイミングは、何を基準に決めているでしょうか。
  • もっと早く専門家が関わっていれば、問題の捉え方や選択肢が変わったかもしれない場面はあるでしょうか。
  • 反対に、課題が明らかになってから連携する方が適切なのは、どのような場合でしょうか。

ここで考えたいのは、連携を早めること自体ではありません。

顧客の問題を理解し、対応を判断するために必要な専門性を、必要な段階で取り入れられているかということです。

問4. 専門家同士が連携することで、顧客には何が増え、何が変わるのでしょうか?

複数の専門家が関わることで、確認できることや、検討できる選択肢が増える可能性があります。
一方で、専門家同士の打ち合わせや情報共有、顧客への説明など、新しい負担が生じることもあります。

また、関わる専門家が増えるほど、誰が何を担当するのかを明確にする必要があります。
例えば、IT・AI領域の専門家が技術的な可能性を示しても、それを経営上、実施すべきかどうかは別の判断です。

最終的な経営判断は、顧客企業自身が行うものです。
そこで考えてみてください。

  • 専門家が一緒に関わることで、顧客にどのような新しい判断材料や選択肢を提供できるでしょうか。
  • その価値を得るために、顧客や専門家にはどのような負担が増えるでしょうか。
  • 専門家それぞれが担うことと、顧客自身が判断することを、どのように分けるのでしょうか。

大切なのは、専門家が増えることではありません。

専門性を組み合わせることで、顧客にどのような価値が生まれるのか。

その価値と新たな負担の両方を考える必要があります。

問5. 今の連携の進め方が顧客にとって適切だと、何をもって判断するのでしょうか?

現在の専門家連携がうまく機能している場合もあるでしょう。
必要なときに相談できる専門家がいて、顧客もその支援に納得している。
それは重要なことです。

ただし、依頼された支援を実施できたことと、顧客にとって検討すべき問題や選択肢を十分に扱えたことは、必ずしも同じではありません。
例えば、依頼されたシステムを導入できたとしても、そもそもそのシステムが必要だったのかという検討が不十分だった可能性は残ります。
そこで、現在の支援について考えてみてください。

  • 専門家との連携が適切だったかどうかを、何を基準に振り返っているでしょうか。
  • 依頼された支援が完了したこと以外に、顧客にとって何を確認する必要があるでしょうか。
  • 今の連携方法を続ける場合と、関与するタイミングや役割を変える場合を、どのように判断するでしょうか。

必要なときだけ専門家に相談する方法もあります。
既存の連携先と相談する段階を早める方法もあります。
場合によっては、課題を整理するところから複数の専門家が一緒に関わる方法も考えられます。
どれか一つを正解とする必要はありません。

判断の基準を、専門家同士が連携しやすいかどうかだけでなく、顧客にとって必要な支援を実現できているかどうかに置けているでしょうか。

専門家同士の役割分担から、顧客にとっての支援を考える

今回の5つの問いは、早い段階から専門家同士が連携することを推奨するためのものではありません。
スポットでの連携が適切な場合もありますし、既存の支援体制で十分に対応できる場合もあります。

一方で、課題や対応方針が決まった後に初めて異なる専門性が関わることで、検討できる範囲が限られる可能性もあります。

大切なのは、その違いを意識したうえで、顧客に合った支援の形を選ぶことだと考えています。
今回の問いを考えた後には、最近の支援案件を一つ振り返り、次のことを整理してみてはいかがでしょうか?

  • 問題や課題を整理する際、どの専門的視点が使われていたか
  • その段階で、十分に確認できていなかったことはないか
  • IT・AI領域の専門家に相談したタイミングは、なぜそこだったのか
  • ほかに検討できたかもしれない選択肢は何か
  • 今後、同様の状況で専門家との連携をどう判断したいか

その結果、現在の進め方を変える必要はないと考えるかもしれません。
既存の専門家への相談方法を少し変えればよい場合もあるでしょう。
あるいは、顧客の状況を確認する段階から、異なる専門性を組み合わせる支援の形を考えることもできます。

経営支援とIT・AI活用支援は、必ずしも別々の段階で考えるものとは限りません。

「専門家として、依頼された役割を果たせているか」だけでなく、「顧客にとって、必要な問題の把握と選択肢の検討ができているか」。

その視点から、現在の支援の進め方を棚卸してみてください。
顧客にとって、よりよい専門家連携を考えるための新しい切り口が見つかるかもしれません。

経営支援とIT・AI活用支援を、どう組み合わせるか

経営コンサルタントや中小企業診断士の方が行う経営支援では、IT・AIに関する問題や選択肢が出てくることもあると思います。
そのとき、経営支援を行う専門家の皆さんがすべてを判断する必要はありませんし、一方で、IT・AI領域の専門家と連携する場合にも、連携を始める適切なタイミングが一律に決まっているわけではありません。

大切なのは、顧客が何を実現したいのか、そのために何を確認し、どのような専門性が必要なのかを考えることではないでしょうか。

株式会社ワザーップでは、IT・AI領域の専門的な立場から、SWITCHサービスシリーズを通じて、経営判断に必要な情報や選択肢の整理、IT・AI活用に向けた業務の整理などを支援しています。

それは、経営支援を担う専門家の皆さんの役割を置き換えるものではありません。
それぞれの専門性を活かしながら、顧客自身が納得して判断できる状態をつくるために、私たちが担える役割の一つだと考えています。

既存の支援体制で十分に対応できる場合もあれば、異なる専門性を組み合わせることで、新しい視点や選択肢が見えてくる場合もあります。
そのような場合には、株式会社ワザーップのIT・AI領域の専門性も、支援の選択肢の一つとして考えていただければ幸いです。

今回の5つの問いが、経営支援とIT・AI活用支援の関係を改めて考えるきっかけになればと思います。

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