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IT・AIシステム導入が失敗する会社に共通する特徴

中小企業のためのIT・AI活用準備ガイド(継続中)
1. IT・AI活用 Ready状態とは何か
2. なぜAI導入の前に業務整理が必要なのか
3. 中小企業のIT活用がうまくいかない本当の理由
4. 業務カルテという考え方
5. 「AIを導入すれば業務効率化できる」は本当か
6. IT・AIシステム導入が失敗する会社に共通する特徴

はじめに

コラムシリーズ「中小企業のためのIT・AI活用準備ガイド」の6本目の記事です。

「IT・AIシステム導入が失敗する会社に共通する特徴」の答えを最初に言っておきます。

システムを選ぶ前に、業務を二つの視点から見ていない

です。
以下に「二つの視点」とはどんな視点か?について書いていきます。

 

IT・AIシステムを導入する前に、業務を整備しておくことは重要です。
これは、IT活用を支援する多くの専門家が指摘することでもあります。

属人化した業務を整理する。
業務フローを明確にする。
例外時の対応を決める。
将来の変化にも対応できるようにする。

こうした準備が不十分なままIT・AIシステムを導入すると、今ある業務上の問題をシステムの中に持ち込んでしまいます。
そして、ここでもう一つ考えておきたい重要なことがあります。

人間にとって業務が整備されていることと、IT・AIシステムにとって業務が整備されていることは、同じではない。

ということです。
私の経験では、業務が問題なく回っている会社ほど、この違いには気づきにくいことがあります。
業務整備の専門家というだけでは気づかない部分かもしれません。
IT・AI活用の専門家だからこその視点で明らかになる重要ポイントです。

「二つの視点」とは、業務をみる時の「人間視点」と「IT視点」のことを指しています。

【IT視点】IT・AIシステム導入前に整えておきたい4つのこと

まず重要なポイントの話に入る前に、一般的な業務整備についてまとめておきます。
IT・AIシステムを導入する前には、業務そのものを整えておく必要があります。
特に確認したいのは、次の4つです。

1. 不要な属人化を減らす

属人化のすべてが悪いわけではありません。
経験や専門知識が必要で、人が判断した方がよい業務もあります。
一方で、

「この処理はAさんしか分からない」
「担当者によってやり方が違う」
「過去の経験で何となく判断している」

といった状態までそのままにしておくと、IT・AIシステムへ処理を移すことが難しくなります。
大切なのは、人の判断をすべてなくすことではありません。
本当に人が判断すべき部分と、共通化できる部分を分けておくことです。

2. 業務フローだけでなく、入力と出力も定義する

誰が、どの順番で仕事をするのか。
業務フローを整理することは重要です。
ただし、IT・AIシステムを利用するなら、それだけでは足りません。
それぞれの業務について、

  • 何を受け取るのか
  • 何を使って処理するのか
  • 何を結果として出すのか
  • 次の処理へ何を渡すのか

まで確認する必要があります。
「営業が確認して経理へ渡す」という流れが決まっていても、何を確認し、何を渡すのかが曖昧なら、システム上の処理は定まりません。

3. 例外ケースに対応できるようにする

実際の業務に例外はつきものです。
例外をすべてなくす必要はありません。
重要なのは、

「通常とは違う場合は担当者が判断する」

だけで終わらせないことです。

何が例外なのか。
どこまでシステムで処理するのか。
どの時点で人へ戻すのか。
人が対応した後、どこから通常の流れへ戻すのか。

こうした境界が見えている必要があります。

4. 業務の変化に対応できるようにする

会社の業務は変わります。

顧客が増える。
商品やサービスが変わる。
担当者が変わる。
組織が変わる。
取引条件や社内ルールが変わる。
業界や社会が変わる。

現在の業務だけを前提にシステムを作っても、業務が変わればズレが生まれます。
そのため、最初から完璧に固定するのではなく、

業務が変わったときに、何を見直し、誰が更新するのか

を考えておくことも必要です。

ここまで整えても、「IT・AIシステムにとって整った業務」とは限らない

ここまでの内容は、IT・AIシステムを導入する前の業務整備として重要です。
ただし、ここで注意したいことがあります。

業務フローを作った。
担当者も決めた。
ルールも整理した。
例外時の対応も書いた。

それでも、IT・AIシステムから見ると曖昧さが残っていることがあります。
なぜなら、人間とIT・AIシステムでは、業務を処理するときの前提が違うからです。
人間は、書かれていないことを補うことができます。

「いつもの方法で」
「このお客様なら少し急いで対応して」
「これは特殊だから念のため確認して」
「最新版の資料を使って」

こうした指示でも、経験のある担当者なら意味を理解できます。
過去の経緯や周囲の状況、相手との関係、常識などを使って、不足している情報を補えるからです。
しかし、IT・AIシステムは同じようには処理できません。

「いつもの方法」とは何か。
何をもって「急ぐ」と判断するのか。
何が「特殊」なのか。
どのファイルを「最新版」とするのか。

処理に必要な条件やデータとして定義されていなければ、安定して扱うことができません。
つまり、

人間には十分に整理されて見える業務でも、IT・AIシステムから見ると未整理なことがあります。

【人間視点】人間にとっての業務整備と、IT・AIシステムにとっての業務整備は違う

この違いは、単に「もっと細かくルールを決める」という話ではありません。
人間にとって必要な情報と、IT・AIシステムにとって必要な情報が違うということです。
たとえば、人間なら備考欄に、

「A社、社長確認待ち。来週水曜に再連絡」

と書いてあれば状況を理解できます。
しかし、IT・AIシステムで検索や通知、集計を行うなら、

  • ステータス:確認待ち
  • 確認者:社長
  • 次回連絡日:○月○日

のように、情報を意味ごとに分けて持った方が扱いやすくなります。
逆に、人間には分かりやすいからといって、情報を何でも入力すればよいわけでもありません。
処理に使わない情報まで増やせば、システムにとってはノイズになることがあります。
重要なのは、情報量を増やすことではありません。

その情報を、何の処理や判断に使うのかが明確になっていることです。

同じことは、属人化されている部分における人の判断にも当てはまります。
人間の業務では、

「特殊な場合は担当者判断」

で十分なことがあります。
しかし、IT・AIシステムを使うなら、

「どこまではシステムで処理し、どこから人間に任せるのか」

を分けなければなりません。
人間の判断をなくす必要はありません。
むしろ、人に残すべき判断を明確にするためにも、IT・AIシステムから見た業務の構造を確認する必要があります。

人間が困っていない業務ほど、IT視点の曖昧さに気づきにくい

IT・AIシステム導入で注意したいのは、業務が明らかに混乱している会社だけではありません。
むしろ、

「今までこのやり方で問題なく回っている」

という業務にも注意が必要です。
人が長年の経験で曖昧さを補っていると、その曖昧さ自体が見えなくなるからです。

担当者が自然に判断している。
周囲も同じ意味で理解している。
何かあれば口頭で確認できる。

人間だけで仕事をしている限り、それで問題が表面化しないこともあります。
しかし、IT・AIシステムに処理の一部を任せると、それまで人間が無意識に補っていた部分が表に出ます。
その結果、

  • システムに入力できないケースが頻発する
  • 例外処理だけがExcelやメールに戻る
  • 担当者によって入力内容が変わる
  • システム上の情報と実際の業務がずれる
  • 結局、担当者に確認しなければ分からなくなる

といったことが起こります。
これは、単純に「業務整理が足りなかった」だけではありません。

人間の視点だけで業務を整理し、IT・AIシステムの視点から業務を確認していなかったことが原因になっている場合があります。

まとめ – システムを選ぶ前に、業務を二つの視点から見る

IT・AIシステム導入の前に業務を整備する。これは重要です。

不要な属人化を減らす。
入力と出力を明確にする。
例外ケースを整理する。
変化に対応できるようにする。

こうした準備は欠かせません。
そのうえで、もう一段必要なのは、

その業務を、人間だけでなくIT・AIシステムの視点からも見ることです。

人間にとって分かりやすいか。
人間が問題なく仕事を進められるか。

それと同時に、

IT・AIシステムが必要なデータを識別できるか。
処理条件を判断できるか。
出力を次の処理へ渡せるか。
例外になったときに人へ戻せるか。

という視点でも確認します。
業務の主役をIT・AIシステムに変える必要はありません。
業務の主役はあくまで人間です。

ただし、処理の一部をIT・AIシステムに任せるのであれば、処理する側から見た業務の姿も確認する必要があります。

IT・AI活用準備SWITCHでは、システムやツールを先に選ぶのではなく、現在の業務・タスク・情報・判断を整理し、ITやAIを活用できる「IT・AI活用 Ready状態」をつくることから支援します。
システム導入を検討しているなら、「どのシステムがよいか」を考える前に、

「今の業務は、人間だけでなくIT・AIシステムから見ても整っているか」

を確認してみることが、導入失敗を避けるための重要な準備になります。

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